Creative Aging What`s Next? 英国バロウ市のクリエイティブエージング祭の報告
9月28日から10月5日まで、英国の北西部カンブリア州の湖水地方の街、Penrith, Uverston, Barrowの3都市を訪問しました。
ピーターラビットの故郷でもあるこの地は、街の外には、羊が草をはむ様子が地平線まで見えるのどかな牧場です。
これらの地を訪問した主たる目的は、10月1日から5日まで地元のBarrowfulという芸術団体、Performance Ansembreが主催し、5日間にわたって荘厳なバロウ市庁舎のヴィクトリア朝の建物で開催されたクリエイティブエージングを目的とするフェスティバルにおいて講演と4回のワークショップを行うことでしたが、隣町であるwestmorland市の依頼で、こちらの高齢者施設2か所と カフェで開催されている高齢者カフェでの出張ワークショップでの3回のワークショップを行いました。フェスティバルの会場やビクトリア時代に建てられたとても豪華な聖堂のような市庁舎で、このような建物で新しい芸術の体験をするというのが素晴らしいと思いました。ランチ、ケーキ付ティータイムを含め、参加費は無料で、リピーターになって、最後にはお友達のように親しくなった方々もいます。私のワークショップにも3回連続で最初は、一人、次は奥様、その次は、娘さんを連れて参加してくれた男性がいました。ほとんどの人はできるだけ色んなワークショップに参加されようとしますが、よほど墨絵が気に入られたようでした。
クリエイティブエージングフェスティバルは日本語に訳すと、創造的加齢祭となりますが、参加者が60歳以上の高齢者で公演やパフォーマンスを行う作家もまた60歳以上に限られるという参加型のフェスティバルです。 初日は、私の他、フィンランドのARMASという10年以上続いている同様のフェスティバルのディレクターであるライサ氏、スウェーデンの世代間劇場のディレクターのMaria Trost, 英国のクリエイティブエージング開発庁の理事長であるArti Prashar、英国アーツカウンシルのKate Parkin、によるそれぞれの活動についてのミニレクチャーとワークショップ参加アーティストによるミニパフォーマンスが行われ、翌日から3日間は連続で午前、午後、そしてランチタイムにもパントマイム、インド舞踊、ブラジルサンバ、詩作、創作ダンス、サーカス、など多様なワークショップが展開されました。どの作家も高齢者にやさしく、初心者でも、認知症でも車いすでも楽しめるように柔軟に対応していたので感銘を受けました。
私は、日本人で舞台が英国ということもあり、日本から墨絵の道具を持っていき、「間」というコンセプトの紹介と筆を使っての墨絵のワークショップを実施しました。想定を上回る人気で25名の枠はすぐに埋まり期間を通して、バロウだけで90名ほどが参加してくれました。
墨絵を見たことはあっても、自分で描いたことがないという方が多く、沢山の発見があったようで楽しんでいただけました。
フェスティバル前に訪問した高齢者施設は準備万端で待っていてくれて、全員参加して、全員が何かを制作することができた、と職員の方もとても驚いていました。こういう制作ワークショップにはいつも参加されない方も参加してくれたようです。「間」がテーマなので、紙を埋め尽くす必要がなく、筆を使うと抽象でも何となくかっこよく仕上がるものです。彼らの名前を日本語で書いてあげたら、それをマネしてずっと練習されている方もいました。
この素晴らしい体験を経て、高齢化の進む日本にも今回のような高齢者が様々な新しいアートに気楽に挑戦できるフェスティバルの開催が必要だと強く感じました。 また、会場がバロウ市庁舎のような荘厳な文化的な美しい建物であることもとても重要だと思いました。そのような建物の中にいて活動することにより、自分がいつもよりも大切にされている、自分に誇らしい気持ちが湧いてきます。さて、東京にはどこにそんな気持ちにさせてくれる建物があるでしょうか。それを探すことから始めたいと思います。
今回のフェスティバルとつないでくれた英国のベアリング財団にこの体験についてのブログを書きました。
以下よりご覧いただけます。 Full circle: How a seed sown in the UK transformed creative ageing in Japan Yoko Hayashi, Arts Alive




