作品名:

水辺の風景

製作者:

西山桐香 飯山由樹 鵜澤美幸

実施場所: 熱海伊豆海の郷

実施期間:

2007/08/16〜8/18

 

>>作品説明

 FSM号(22.7x15.8cm)のキャンバスを5×4枚並べ、一つの作品となるコラージュ作品を作った。事前にキャンバスに色を塗り、色の雰囲気、構図などを統一しておいた。 1日目は持ち寄った雑誌などからコラージュに使用する写真選びながら切って下準備を行った。2日目に施設利用者の方々と前日に切った写真を貼ってもらった。


 

>>プロジェクト後の感想

私達は小さなキャンバスを並べてひとつの大きな絵にするという作品を作りました。あらかじめキャンバスにアクリル絵の具を塗って持って行ったので、「熱海伊豆海の郷」に着いた初日はその上からコラージュするための草花や生き物の写真を切る作業をしました。そして二日目にスタッフの方に私達の企画に参加したいという方々を連れて来ていただき、一緒にコラージュ作業をしていただきました。
ワークショップに参加してくださる方々それぞれに全く雰囲気が違い、中には自分から積極的にやって下さる方もいて驚き、嬉しかったです。
今回、色々な方に協力していただき、出来た作品は当初に想像していたよりもずっと自由で楽しいものになり、良かったと思います。(飯山由樹)

企画を初める前は初対面のお年寄りの方とうまくコミュニケーションをとれるか、無理矢理やらせる事になるのではなくて楽しんでもらえるかどうか、と心配に思っていました。
 しかし、いざやってみると初めはぎこちなくともお年寄りの方は積極的に作品作りを楽しんでくれてその心配は消えていきました。参加してくれたお年寄りが夢中になりながら紙を貼ってくれたり、作品を作りながら話が膨らんでいったりして短い時間でしたが、お年寄りの方にとっても自分にとっても充実した時間が過ごせたと思います。
出来上がった作品を見てお年寄りの方が笑顔になられたときにやってよかったなと思いました。企画を終えた後、企画に参加してくれたおばあさんが出来上がった作品 を何度も観に来てくれたということを聞いてとても嬉しかったです。
 また、施設の中を歩いていると自分達の作品以外にも様々な絵やモビールなどの作品が点々と飾られていて、私自身もそれら作品のある通路を通るたびになんだか華やかな気分になったり癒されたりしました。
 企画に直接参加しなくても、飾られている作品を毎日いろんな所で見かけるだけで、いろんな感情を抱いたりして、お年寄りの方が少しでも心豊かな生活を送る支えになると私は思います。アーツアライブがこれからも続いてゆき、この施設がもっともっと豊かで楽しい空間になればいいなと思います。(鵜澤 美幸)

 作品としてのまとまりとクオリティを考え、事前にキャンバスに下地として色を塗り、写真を切っておくなどして、ワークショップの作業としては、貼るということに絞ったため、淡白過ぎはしないだろうか、と不安に思っていたが、参加してくださった方々はキャンバスを眺めながら、貼る写真の位置やバランスを吟味していたり、写真の隅々にまで糊をつけて綺麗に貼ろうとして下さったり、単なる単純作業で終わらず良かったと胸をなでおろす次第だった。
作業中、利用者の方々が話してくださったお話など興味深く、また我々の心に響くものでもあった。しかし、このワークショップは午前2時間、午後2時間で作業するつもり行ったのだが、FSM号キャンバス20枚では二日目午前中にほぼ全部貼り終えてしまい、午後来て頂いた利用者の方々に残された作業はほとんど無かった。
作品としては元気なものが出来上がったのではないかと思うが、ワークショップとしては量が少なかった点が失敗だった。
 また今回の経験で、現地へ向かいサイトスペシフィックな作品を作ったり、ワークショップを行ったりする作家として赴くとき、現地での些細な行動なども重要だということを知った。お邪魔する人間としての最低限の礼儀をしっかり示せなければ、受け入れる側も訪れた側もいい気はしない。現地へ赴いて制作するとは、普段会う機会のない、制作する側の人間も見えるという事であり、作家たちを通して美術をより身近に感じられ得る機会でもあり、また裏を返せば作家たちを通して美術に対するイメージが悪くもなり得る。
日本のように、美術を含む芸術分野が社会全般からしてマイノリティな存在で、それらとの接点、理想的関係を模索している状況では、ひとつの組織によって形式的に受け入れられるだけでなく、それを構成する人々がひとりひとりに受け入れられなければ、今まで通りの「なんとなく排斥してはいけない気がするから一応受け入れておく」というぎこちない関係性は打開できない。
芸術の表面的普及ではなく、社会に根をはる精神的普及を望むなら、まず作家たちが受け入れられるところから始めなくてはならない、と今回のプロジェクトを通して感じた。(西山 桐香)